牛85~86シーズン②
ジョーダン在籍時のブルズの話はやっぱりネタが豊富なんですが、有名なエピソードも多いので、できるだけ有名じゃないところを書きたいなぁ、と思っているのですが…
【ビッグマン】
開幕からスターティングCを務めたオールドハムは、2月末に左頬骨を骨折して戦線離脱。
すぐ復帰するんですが、3月頭にまた同じ箇所を負傷し、残りのシーズンはすべて欠場しました。
平均7.4点・5.9リバウンド・2.6ブロック(リーグ6位)はすべてキャリアハイですが、52試合の出場に終わっています。
デイブ・コージーンは67試合で平均9.6点・6.5リバウンド。
主に控えでしたがプレイングタイムはオールドハムより長く、スタッツも、ブロック以外はほとんどオールドハムより上でした。
オールドハムが離脱したとき、スタン・アルベックHCはコージーンではなくオークリーをCとして使うスモール・ラインナップを使うんですが、シーズンラスト2試合でコージーン&オークリー&ウールリッジという大型ラインナップへシフト。
プレイオフ1stラウンドの相手が、フロントライン充実のセルティックスだからですかね。
シドニー・グリーンにとっては3年目にしてこれがキャリア最高のシーズン。
80試合(うち68試合がスターター)で平均13.5点・8.2リバウンドをマークしました。
シーズン終盤にウールリッジ&オークリーがラインナップに並び、ベンチスタートになると影が薄くなりますが、ブルズの中ではシーズン通して安定していました。と思う。
マイク・スムレックはC2人がダウンしたときに出場機会を得ますが、大きな助けにはなりません。
【波乱の2年目でした】
フロントの意向に反して復帰を強行したジョーダンは、18試合(うち7試合がスターター)で平均22.7点・2.1スティール。
4月に限れば平均28.6点をあげるなど、すぐ故障前と変わらないレベルのプレイを見せてくれました。
ただ、ジョーダンの復帰は新たな問題を生みました。
ひとつはチーム・ケミストリー。
チームが3連勝していたところでジョーダンが復帰したんですが、復帰後すぐに5連敗。
ジョーダンのアイソレーションが増えたことに不満を漏らすチームメイトもいたようです(5連敗のうち4試合がロードで、セルティックス、シクサーズなど強豪相手でしたが)。
もうひとつは、プレイングタイムの問題。
復帰当初、ジョーダンには「ハーフで7分以上プレイしない」という制限が課されていたんですが、アルベックHCは少しずつプレイングタイムを増やしていき、ジョーダンにムリをさせたくないフロントと衝突します。
そして4月頭のペイサーズ戦。
この試合からジョーダンの制限が「ハーフで14分」になったんですが、この試合のアルベックはこれを「忠実に」守り、残り1分を切って1点ビハインドという場面で「28分プレイしたから」とジョーダンをベンチへ。
試合はなんとか勝つんですが、ベンチに下げられたジョーダンは激怒するなど、この采配は物議を醸しました。
ジョーダンはこの2試合後からスターターに復帰しています。
【細かい人事】
・ジョーダンが怪我をした日、スパーズからFAとなっていたジョン・パクソンと契約。
・11月頭、ロン・ブリューワーと契約。
・12月半ば、ビリー・マッキニーを解雇。
・2月末、マイケル・ホルトン&トニー・ブラウンと10日間契約。
・3月半ば、ロッド・ヒギンズと10日間契約。
パクソンは3年目のPG。スパーズ時代にはガービン&バンクス、カレッジ時代にはウールリッジとチームメイトでした。
このシーズンはメイシーのバックアップですが、のちのちブルズにとって大事な選手になるのはご存知の通り。
ブルズはパクソンと契約するため、スパーズに金銭を渡しています。
ブリューワーは8年目のSG。ロニー・ブリューワーのお父さん。
3年目以降は毎シーズン2チームに在籍しており、ブルズはこのシーズンの1チーム目。2週間ほどで解雇されます。
マッキニーはこれでほんとに現役生活が終わり。
この後はブルズのフロントに入り(最初はAC?)、のちにウルブズの初代GMとなります。
ホルトン&ブラウンはともにCBAでプレイしており、ホルトンは2年目のコンボガード。
ブラウンはCBAとNBAを行ったり来たりしてる若手スウィングマンです。
ホルトンはそこそこ活躍して好印象を残しますが、ブラウンはジョーダン復帰のタイミングで解雇。
入れ替わりで?戻ってきたのがヒギンズでした。
ヒギンズは開幕前にブルズをクビになった後、10日間契約と解雇を繰り返し、ソニックス→スパーズ→CBA→ネッツと渡り歩いていました。
こちら2週間ほどで解雇されます。
【問題児】
シーズン前にドラッグのリハビリ治療を受けたデイリーは、11月半ば、ちょっと早めに復帰。
復帰後は20分そこそこで20点前後を稼ぐ、いつものプレイを見せていました。
しかし、練習を休んだり飛行機移動に帯同しなかったり…問題行動もなくならず、2月頭のピストンズ戦をすっぽかしたことで、遂にクラウスが激怒。
その翌日に出場停止リストに登録され、デイリーはまたしてもドラッグのリハビリ施設に入るのでした(もう戻ってきません)。
因みに、チームを離れる4試合前にはシーズンハイの38点をマークしていました。
このデイリーやウールリッジは特に目立ちますが、他にもチーム内の問題は多かったようで、ロッカールームの雰囲気も良くなかったとか。
新加入のメイシーが、試合前にお菓子を食べたり、チアリーダーと話したり、バカ騒ぎしたり…試合に臨む準備がまったくなっていないチームメイトに対して苦言を呈すこともあったそうです。
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【余談2つ】
①この当時のブルズはホームで120点を越えると観客にただでピザが配られていました。ハードル高!
②当初、ジョーダンはアルベックのことを「ロッカリーほど率直にモノを言わない」ことなどから、「タフじゃない」と思っていたようなんです。
そんなアルベックが、ジョーダンをはじめとする選手たちの信頼を得たのが開幕2戦目のピストンズ戦、ジョーダンがビル・レインビアによってコートに叩きつけられたことに激怒し、試合中にレインビアとチャック・デイリーに報復しに向かっていったという出来事でした。
この件でアルベックは1試合の出場停止処分を喰らうため、ジョーダンが怪我をした3戦目はコーチしていませんでした。