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Channel: NBAヒストリー(ひばち)
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Dallas Mavericks vol18

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M97~98シーズン



このオフのドン・ネルソンは昨シーズン途中のような派手な動きは見せません。昨シーズンのトレードの成果に期待しているのかもしれませんし、動きたくても動けなかったのかもしれませんが・・・


【なんでモントロスなんか獲ったんだろ・・・】


昨オフ、エリック・モントロスを獲得するために1巡目指名権を手放したため、昨シーズン低迷したにもかかわらず、高順位は得られませんでした(マブスがあげた指名権でセルティックスはロン・マーサーを指名)。


・1巡目第15位でケルビン・ケイトを指名し、同18位でブレイザーズから指名されていたクリス・アンスティ&金銭とトレード。

・2巡目第34位でバッバ・ウェルズを指名。


アンスティはオーストラリア出身の7フッター。バスケットを始めたのは17歳と遅いんですが、ずっとテニスをやっていたためか動きは軽快。ネルソンはそこに惚れ込んだようです。

オーストラリアのチーム(SEメルボルン・マジック)との契約が残っており、サマーリーグをプレイした後、オーストラリアに帰還します(契約は今シーズンいっぱい。シーズン終わり次第、マブス入り予定)。


ウェルズは本名チャールズ・ウェルズ。オースティン・ペイ州立大出身で、ややずんぐりしたSGです。評価は高くなく、ひょっとしたらスティールになるかも?くらいだった様子。「バッバ(Bubba)」とは日本語で「あんちゃん」みたいなニュアンスだそうです。


↓プロとしては94年からプレイしてました


【地味に補強】


ヒューバート・ディビスケビン・オリーエイドリアン・コールドウェルと契約。

デレク・ハーパーエド・オバノンをマジックに出して、デニス・スコット&金銭を獲得。


ディビスはキャリア5年のSG。ニックス時代にネルソンの下でプレイした経験があり、そのときはネルソンに重宝されていました。今回は6年契約、地味だけどいいシューターです。

コールドウェルは昨シーズンペイサーズにいた中堅PF。不器用なサウスポーのビッグマンです。

オリーはルーキーのPG(6フィート4インチ・195ポンド)。95年にコネティカット大を卒業した後、2年間CBAでプレイしていました(ドラフトにかからなかったんですね)。


スコットはマジックがファイナルに進んだときの主力・3Pシューター。オフに自分の誕生会でトラブルを起こしており、それをマジックのフロントが批判したことでチームとの関係が悪くなっていました(トレーニングキャンプに出ないと言ってたとか)。


また、昨シーズン、ドラフト外のルーキーながら活躍を見せたエリック・ストリックランドと6年間1440万ドルで再契約。これは(層が薄いとはいえ)チームで4番目の高給取りとなる契約でした。昨シーズン終盤のプレイぶりをネルソンがいたく気に入ったようです。


↓昨シーズンは悲惨でした


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


開幕スタメンはカリッド・リーブス、ディビス、マイケル・フィンリーAC・グリーンショーン・ブラッドリーの5人。

新生?マブスは開幕3連勝を飾りますが(ただし、グリズリーズ戦が2試合)、その後すぐに10連敗。連敗中の内容は酷く、9試合が100点未満で、ある試合では75対120と45点差で敗れ、また別の試合では62点しか取れずにバックスに負けました。


そして、4勝12敗となったところで遂にフロントが動きました。


●帰ってきたネリー

ジム・クレモンズが解任され、ネルソンが新HCに就任。これによってネルソンはHC/GMとなりました。


△オフェンスの導入やスローテンポなオフェンスをやろうとするクレモンズ、アップテンポなシステム向きな選手を獲得するネルソンという2人はまったく噛み合っていませんでした。クレモンズ就任直後に獲得したモントロスをネルソンが昨シーズンのうちに放出していることなども、方針の違いが顕著だった例かもしれません。


ネルソンが昨シーズン途中にフロント入りしてからクレモンズの解任は時間の問題とも言われ、事実、ネルソンは昨シーズン終了時にクレモンズを解任したかったようなんですが、そのときはオーナーのロス・ペローJrが待ったをかけていました。

今回、解任の許可を出したペローJrは(見返りとして?)ネルソンの現場復帰を望み、最初は現場復帰を嫌がっていたネルソンも、オーナーに対するリスペクトを示す&マブスの現状が酷で第三者に頼むのは望ましくない、という理由からHC復帰を決断しました。本心はどうかわからないですけどねw


因みにクレモンズ解任に伴って、ACのブッチ・ベアードソニー・アレンもさようなら。ネルソンはサンズでACを務めていた息子のドニー・ネルソンを新たに招聘しました。残ったAC、チャーリー・パーカーによるとクレモンズは最後に「ハードにプレイするように、プロフェッショナルであるように」と選手たちに伝えたようです。


↓2シーズン前のニックスでHCは懲りてた?


結果的にはこの変化がマブスにとって大きな+となるんですが、それはもう少し先のお話。この当時はマブスの未来はまだ見えず、マイケル・ジョーダンは「クレモンズはファンからもチームからもサポートがなかった」「フェアな扱いを受けてない」とマブスを批判しました(クレモンズはブルズのACでしたからね)。


ネルソン就任後のマブスはまったく改善が見られず、特に相変わらずオフェンスは酷すぎ。ネルソン就任直後の12~1月にかけても15連敗を喫し、あっさりロッタリーチーム行きが決まりました。


●トレード期限にトレード1件

・獲得したばかりのスコットをサンズに出して、セドリック・セバロスを獲得。


ともに今オフFAになるSFどうしのトレード。ネルソンはスコットに「トレード期限までにプレイオフに出られるチームにトレードするよ」と約束していたようです。


スコットはトレード前の52試合中42試合でスターターを務め、平均13.6点をあげていましたが、FG成功率は40%に届かず、3Pも成功率34%ほどとイマイチ。14本中9本の3Pを決めたスーパーな試合もありましたが、ムラが激しく、期待外れな感は否めませんでした。

一方のセバロスは得点力のある8年目SF。20点くらいは簡単に稼げるスコアラーなんですが、層の厚いサンズではプレイングタイムが制限されていました。3P以外はスコットより上です。


↓シャックがいないと不安定?


マブスはセバロス効果か、2月末からちょっとだけ調子が上向きます。2月末~3月にかけての15試合は8勝7敗と勝ち越し、そのうちの1勝は王者ブルズをオーバータイムの末に下した大金星と、底力?を見せました。

ただ、それまでがあまりにも酷かったのでたいした挽回にはならず、トータル僅かに20勝。20勝62敗でシーズンを終えました。


マブスが弱いのはオフェンスもディフェンスも弱いから。得点はリーグ下から4番目で(平均91.4点)、失点はそこまで酷くなかったけど(100点は越えなかった!)、相手にチームにゆるしたリバウンド数がリーグダントツで最下位でした。

ハイライトは先に挙げたブルズ戦と、あとは61勝をあげたカンファレンス2位のソニックスから何故か2勝したことでしょうかw


因みにこのシーズンのウェスタン・カンファレンスは弱いチームが固まっており、グリズリーズ(19勝)、ナゲッツ(11勝)、クリッパーズ(17勝)と下には下がいたんです。イースタン・カンファレンスにはラプターズ(16勝)もおり、これだとドラフトであまり高い順位も期待できません・・・


【エース/得点源】


フィンリーは全82試合でスターターを務め、リーグ1位となる平均41.4分もプレイ。平均21.5点・5.3リバウンド・4.9アシスト・1.6スティールと3年目にしてエース級のスタッツを残しました。プロ入り以来欠場がないのもポイント高いです♪

HCがネルソンになってからはほぼ毎試合フル稼働で、オーバータイムの試合も含め、48分以上プレイすることも珍しくありませんでした。ジャンプシュートの主体のスタイルにしてはムラも少なかったかな?4月14日のレイカーズ戦ではキャリア初のトリプルダブルをマークしています。


セバロスは3月15日のサンズ戦で右膝を負傷し、シーズン終了。そのためマブスでは12試合しかプレイできませんでした。

ただ、合流4試合目からスターターになるとすぐ20点前後を連発するなど期待通り?の活躍ぶり。平均16.9点・FG成功率47.8%はさすがです。先述のブルズ戦で、4Q終盤にオーバータイムに持ち込む同点3Pを決めたのもセバロスでした。


↓ずっと健康だったワケでもないみたいですが


【マブスにとって最大のニュース?】


グリーンはもちろん全82試合に出場。ネルソンがときどきスモールラインナップを使ったんでベンチスタートもありましたが、68試合でスタートして平均7.3点・8.1リバウンドをマーク。34歳になりましたが、開幕から6試合連続で2桁リバウンドを稼ぐなど、弱小チームで腐らず、存在感を見せてくれました。  


いちばんのハイライトは11月20日、地元ダラスで行われたウォリアーズ戦。この試合でグリーンは907試合連続出場というNBA新記録を樹立しました☆

この日はティップオフ直後にフィンリーがタイムアウトをとって祝福の時間をとり、ハーフタイムにはセレモニーも開催。セレモニーにはリーグ上層部からロッド・ソーン、オーナーのペローJr、市長、前記録保持者(906試合連続出場のランディ・スミス、MLBの鉄人カル・リプケンも姿を見せました。リプケンは自身のユニフォームをグリーンにプレゼントしています。


↓MLBで2632試合連続出場したリプケン


・余談1:市長はグリーンにロッキングチェア、グリーンの青年財団への寄付、11/13~20をAC・グリーン・ウィークとする案、レザージャケットが送られました。


・余談2:ロン・ブーンというGがいたんですが、この人、1041試合連続出場という記録をもってるんです。ただ、ABAとNBAにまたがってプレイしたために最初の662試合はABA時代のモノで、NBAの記録にはなっていないんですね。グリーンはのちに1192試合連続出場まで記録をのばして、ちゃんとブーンも抜いて現役を引退するんですけどね♪


↓こういう記録の方がもう破られないかも?


【苦しかったPG事情】


ロバート・パックは左腕骨折で開幕から22試合を欠場し、1ヶ月ほどプレイした後、今度は右手親指の靱帯を断裂(!)わずか12試合の出場(うち10試合がスターター)に終わりました。

復帰して、リズムを掴む前にまた怪我しちゃった感じで、シュートの精度は悪く、ミスも多めでした。因みにパックが復帰したところでオリーは解雇されています。


リーブスは全82試合で平均8.7点・2.8アシスト・FG成功率41.8%。ルーキーシーズン以来初めて1つのチームで1シーズンを過ごし、ルーキーシーズンに次ぐ好成績を残しましたが、スターティングPGとしてはちょっと厳しい感あり。54試合でスターティングPGを務めましたが、ロスターに他に純粋なPGいないのにスターターを外されることもありました。


新加入のディビスは不振の昨シーズンから復調。81試合で平均11.1点・FG成功率45.6%・3P成功率43.9%(101/230)をマークしました。3P成功率はリーグ4位です♪オールスター・ウィークエンドの3Pコンテスト・セミファイナルではコンテスト史上2位タイ・セミファイナル史上最多タイとなる24点(もうひとりは91年のクレイグ・ホッジス)をマークしています(ファイナルは不発で10点しかとれず、ジェフ・ホーナセックに敗れます)。

(実際にボールをコントロールするのはフィンリーが主だったけど)スターティングPGとして起用されることもあり、30試合でスターターを務めました。


ネルソンお気に入りのストリックランドは、クレモンズ解任以降、一定したプレイングタイムを得ましたが、67試合で平均7.6点・FG成功率35.7%・3P成功率29.4%と出来はイマイチ。プレシーズンで負傷した右足首の影響もあったようですが、複数年契約の期待に応えたとは言えません。

ハイライトは1月20日のソニックス戦で、キャリアハイの30点をマークして大金星に貢献しています。


↓チャンスを活かせなかった?リーブス


リーブスはのプレイスタイルは周りを活かすモノではなく(PGになったのはプロ入り後ですからね)、ディビス&ストリックランドはもちろんPGじゃありません。怪我が多いパックに頼らざるを得ないロスターだったのが、そもそもの問題ですかね。

マブスの総アシスト数がリーグで下から2番目なのは偶然ではないでしょう。


【計算しにくいC陣】


ネルソンが最終的には「オールスターかそれに近いレベルの選手になれる」と大きな期待を寄せるブラッドリーは64試合(うちスターターは46試合)で平均11.4点・8.1リバウンド・3.3ブロック(リーグ3位)・FG成功率42.2%。

開幕から最初の1ヶ月ほどは得点・リバウンド・ブロックで存在感を見せ、ピーク時のディケンベ・ムトンボみたいなスタッツを残してましたが、左足ふくらはぎを傷めて14試合欠場したあとは例年のブラッドリーに戻っちゃいました。3月以降は、ほとんどの試合でスターターを外されています。

プレイ内容は良くも悪くも起用法に左右されない不安定ぶりで、4月7日のブレイザーズ戦では22点&22リバウンド&13ブロックというとんでもないトリプルダブルをベンチスタートでマークしています(ブロックはキャリアハイ&チーム記録で、20点・20リバウンド・10ブロックをベンチスタートで記録したのは史上初)。


↓相手の膝で睾丸を負傷したこともありました


アンスティはSEメルボルン・マジックが強く、チャンピオンシップ争いまで残ったために合流が遅れ(メルボルン・タイガースに敗れます)、マブスと契約したのは開幕直後となりました。

オールスターブレイク前後から出場機会が増加し、特にブラッドリーがスターターを外された3月以降は2桁得点をあげる試合も少なくなく(3月は平均12.4点)、試合終盤にコートに立っていることもありました。その3月終盤に怪我しちゃうのが勿体ないんですけどね。


そのシーズン終盤、ネルソンはアンスティが怪我をしてもブラッドリーをスターターには戻さず、エリック・ライリーをスタートさせることが多かったです。

ライリーは27歳の7フッターで、NBAでのプレイは2シーズンぶり。昨シーズンはギリシャでプレイしていました。ブラッドリー離脱中の12月半ばにマブスにやって来て、最初はあまり起用されませんでしたが、ブラッドリーの不甲斐なさ(と僕は思ってますw)&アンスティの故障で出場機会を得ることが出来ました。ブロックは意外と悪くなかったです(平均1.2本)。


↓ロングリーと違ってシャープな顔つき


【ポテンシャルは悪くない?】


2年目のサマキ・ウォーカーは、最初の1ヶ月ほどはパッとしませんでしたが、ブラッドリーが戦列を離れた&HCがネルソンに代わった12月の間に大きく成長。スターティングCとして力強いプレイを見せると、ブラッドリー復帰以降はスターティングPFへスライドし、グリーンからポジションを奪っちゃいました。

1月末に右足を疲労骨折してシーズンを終わるので、ルーキーシーズンにも満たない41試合しかプレイできないんですが、平均8.9点・7.4リバウンド・1.0ブロックはまずまず。1月に限れば、15点・11リバウンドくらいのアベレージを残しています。来シーズンに期待?


昨シーズン途中でマブスに移籍してきたモノの怪我でプレイできなかったカート・トーマスは、開幕3試合目にようやくマブスデビュー☆しかし5試合出ただけで再び右足首を骨折してしまい、なんとのそのままシーズンを終えてしまいました。(この年だけで4度目の骨折だったとか)。

ネルソンはトーマスにかなり期待していた様子で、そのためかシーズン全休が決まったところでトーマスをACにしました。


↓怪我はほんとに勿体なかったなぁ・・・


トーマスと一緒にヒートから来たマーティン・ミューレセップにとっても、これがマブスで初のフルシーズン。セバロス離脱以降はスターターとしても起用されるなど出場機会が少し増え、41試合で平均5.7点・3P成功率42.1%をマークしました。

身長はPFサイズですが、線の細さやシュートの巧さを活かすにはSFの方がいいようです。


ルーキーのウェルズは12月29日のブルズ戦で、FTの成功率が悪いデニス・ロドマンに意図的にファウルする「ハック・ア・ロドマン」のファウル要員として起用され、3分で退場(!)史上最短時間での退場という新記録を作ってしまいました。

ウェルズ本人はもちろんこんなことはしたくなかったようですが、ある意味ではグリーンもびっくりですwこれまでの記録は5分で、1956年にナショナルズのディック・ファーリーという選手がホークス戦で記録しています。

因みに戦力にはあまりならず。スコットのトレードが成立した翌日の試合で出場機会を与えられ(セバロスが合流してませんでした)、シーズンハイの21点をあげたのが唯一のハイライトです。


↓不本意でも珍記録のお陰で名前が残ってます


【その他細かい人事】


・開幕直後にコールドウェルを解雇。

・3月末、ショーン・レスパートと契約。


コールドウェルはアンスティが来るまでの繋ぎ役。アンスティの契約が成立したところで解雇となりました。

レスパートは3年目のSG、3月半ばにラプターズから解雇されたばかりでした。マブスでは10試合の出場ながらキャリアハイの平均8.2点をマークします。


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ただでさえタレント不足なのに故障が多く、総試合欠場数363はリーグ最多&チーム記録(以前のチーム記録は92~93シーズンの246試合)。またしても散々なシーズンでした。

ネルソンがHC/GMになったことで、方針だけでも定まればいいですが・・・


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