N70~71シーズン
さてさて、このオフから本格的に(最初の)ネッツの時代がやって来ます。ふっふっふ。
【真打ち?登場】
1シーズン待ってHCにルー・カーネセッカが就任。(この当時の評価はよくわからんのですが)未来の殿堂入りHC・カレッジ界の名将が遂にやって来ました☆(ヴァイス・プレジデント兼GM兼HC)
この当時45歳のカーネセッカはその40年近いコーチ生活のほぼすべてをセントジョンズ大に捧げる方なんですが、唯一プロで指揮を執ったのがこのネッツでした(これから3シーズンHCを務め、またセントジョンズ大に戻っていきます)。
「カラフル・ルーイー」と呼ばれ、カラフルなセーターを着ることでも有名です。
↓2012年現在、セントジョンズ大のアリーナはカーネセッカ・アリーナといいます
【ドラフトはまだ厳しいね】
ボブ・レニアー、ジム・アード、ジェフ・ペトリーを指名。この3人はNBAのドラフトでも高順位で指名されており、それぞれ1位、6位、8位でした。こんな有望株たちがABAに来るわけない・・・と思ったらアードはネッツに来てくれるんです(!)
アードはシンシナティ大出身で6フィート8インチ・215ポンドのF/C。そんな良い選手じゃなかったんだけどwABA&NBAで計8シーズンをプレイするロールプレイヤーです。
【さあさあスターの登場です☆】
ドラフト指名権&金銭を出して、スクワイアーズからリック・バリーを獲得!昨シーズン平均34.0点をあげたスコアラーの獲得に成功しました♪
バリーは65年にNBAのサンフランシスコ・ウォリアーズでデビューし、2シーズンプレイした後にABAのオークランド・オークスへ移籍。
バリーは僅か2年のNBAキャリアでルーキー・オブ・ザ・イヤー、オールスターMVP、オールNBA1stチーム、得点王・・・すでに数々の栄誉を手にしていたスーパースター。まだ「NBA>ABA」という認識だった当時、バリーのようなNBAのスターがABAへの移籍を自ら選択したことは極めて異例でした。
バリーがABAを選択したのはオークスが魅力的な契約金&特別なHC(ブルース・ヘール)を用意したから。しかし、ヘールは1シーズンでチームを去って、チームはワシントンへ移転し、このオフ更にヴァージニアに本拠地を移していました。
バリーはワシントンに行きたくなかったんですが、ヴァージニアにはもっと行きたくなかったようで、移転直後(このオフの間)に行われた雑誌のインタビューでヴァージニアという土地を批判(「息子が南部訛りになったらイヤだなー」とコメント。この当時、バリーの子供は長男のスクーター&次男のジョンしか生まれていません)。これが引き金となって、今回のトレードに至りました。
(本当にヴァージニアをバカにしたかったのではなく、トレードされたくれこんなことを言ったと。一方のヴァージニア・スクワイアーズも「移転を続けている=経営不振」であり、サラリーの高いバリーを放出したかったようです)
【これも良い補強でした】
バリーのトレードが成立する1ヶ月ちょっと前、ネッツは同じくスクワイアーズにドラフト指名権&金銭をあげて、ビリー・ポルツという6フィート11インチ・235ポンドの白人C/Fを獲得していました。
ポルツはこのオフにスクワイアーズが獲得していたルーキー。セントジョンズ大出身てことでカーネセッカが呼びたかったのかも知れません。ミドルレンジのシュートが上手く、ドライブや柔らかいフックショットも見せる技巧派ビッグマン・・・かと思いきや、ディフェンスではインサイドでリバウンドやブロックに奮闘しちゃうユニークな選手。
この時代のABAでキャリアをスタートさせた選手としては珍しく、80年代半ば(NBA)まで息の長いキャリアを送ります。
【ようこそ&お疲れさまでした】
ポルツの他にオリバー・テイラー、ジム・ヘイズ、ジョー・ディプレ、ビリー・ディアンジェリスという4人のルーキーを獲得。また、ビル・バンティングというキャリア1年のF/Cも加えました。
テイラーは通称「オリー・テイラー」と呼ばれる6フィート2インチのスウィングマン。サン・ジャンシントというジュニア・カレッジを優勝させた後、ヒューストン大で3年プレイ。地元ニューヨークにあるRucker Park(古くはカリーム・アブドゥル-ジャバー、のちにはラファー・アルストンもプレイする伝説的なコート)出身で、スラムダンクには定評がありました☆
ヘイズはボストン大出身のG、ディプレはセントジョンズ大出身(また!)のG、ディアンジェリスはセントジョセフ大のG、ヘイズとディアンジェリスはほとんどプレイしないままリーグからいなくなっちゃうので、これにて!
バンティングは昨シーズンはクーガースでプレイしていました。
テイラーやディプレはそれなりに戦力になる人材で、少しずつ戦えるメンバーが集まってきたかと思うんですが、来る人あれば去る人もあり。開幕前日、ウォルター・サイモンがドラフト指名権と交換でカーネルズに去っていきました。初期ネッツがいちばん辛いときにいてくれたんですよね~ご苦労様でした。
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このひとつ前のシーズン、ライバル・リーグのNBAを制したのはニューヨーク・ニックス。ニックスにはウィリス・リード、ウォルト・フレイジャー、デイブ・デバッシャー、ビル・ブラッドリーら蒼々たる面々が揃っており、同じ街を拠点とするネッツが張り合うには一定レベルのスーパースターが必要でした。
そして、バリーはその器でした。バリー自身もニューヨークでプレイすることに前向きで、「スポーツをするなら、ニューヨークはその場所だ。ヴァージニアでプレイしなければならないと考えたとき、俺の関心はいつやめるか?だったが、今はバスケットへの関心が戻ってきた。俺はバスケットをしたいんだ」としています。
ABAコミッショナーのジャック・ドルフも「彼がヴァージニアでなくニューヨークにいるということは、私たちにとっても3倍以上意味のあることなんだ」とコメント。バリーの存在はネッツだけでなくABA全体にとって大きな意味があったのかも知れません。
しかし、そのバリーを加えたネッツは勝ったり負けたりを繰り返し。肝心のバリーが足の骨折でシーズン序盤の多くを欠場し、復帰した後もチーム状態はさほど良くなりません。
シーズン終盤に16試合を13勝3敗とするスパートをかけますが、貯金2つが精一杯。最終的には5割に届かず、昨シーズンより1勝増えただけの40勝44敗でシーズンを終えました。イースタン・ディビジョンの3位でプレイオフ進出は決めたけど、期待通りとは言えないでしょう。
【ブロードウェイのスター?】
故障で2ヶ月ほど出遅れたバリーは、59試合で平均29.4点・6.8リバウンド・5.0アシスト・FG成功率46.9%・FT成功率89.0%(リーグ2位)。(得点アベレージはリーグ2位に相当するモノの、総得点or出場試合数が規定数に達していなかったようで、ランキングには反映されていません)
ABAに来てからのバリーは故障続き。中でもオークス時代(68~69シーズン)に負った膝の怪我はその後のキャリアに影響を及ぼすほどのモノでした。そのシーズンのバリーは43試合を欠場し、更にはチームがワシントンに移転した69~70シーズンも完全に癒えた状態とはなっておらず、再び32試合を欠場。そして、更に追い打ちをかけるように負ったのが足の骨折でした。
そのため、このシーズンは復帰しても本調子ではなかった様子。上記の成績はリーグ・トップクラスだし、平均42.4分もプレイしたし、オールABA1stチーム&オールスターにも選ばれたし、53点をあげた試合もあったんだけど・・・よくなかったみたいです。リバウンドが減ったのはその現れかな?
【まだまだチーム改造中】
バリーの怪我もあったけど、チームそのものも未完成なんです、うん、きっとそうです。てことでネッツ的に大きなトレードが2件行われました。
・開幕直後。レス・ハンターを出して、ドラフト指名権&金銭を獲得。
・シーズン半ば。レバーン・タルト&エド・ジョンソンを出して、シャパラルズからマニー・リークスを獲得。
ハンターを何で出したのかは不明。バリー加入によって資金を捻出したかったのかもしれないし、カーネセッカの評価が低かったのかも知れません。タルトはバリーとの共存が難しいと思われたかな?
すぐ放出されたハンターはともかく、タルトは27試合で平均18.7点、ジョンソンは26試合で平均10.3点・8.5リバウンドをあげていました。
リークスは悪夢の68~69シーズン途中に少しだけネッツにいたことのある出戻り組。ネッツからシャパラルズに移ったリークスはインサイドの要としてブレイクし、ステップアップして帰ってきました☆スターじゃないけど平均17.0点・9.6リバウンドは立派です。
ネッツは創設以来リバウンドが壊滅的に弱く、ここ3シーズン連続でリーグ最下位(創設シーズンもドベ2)。必要不可欠な補強だったかもですな。
【でも、戦力は整いつつあるんです】
昨シーズン開花したビル・メルチオーニは更に成長!81試合で平均8.3アシストをあげてアシスト王に輝き、更には平均17.6点もマーク、オールスターにも初めて選ばれ、ABAトップクラスのPGになっちゃいました☆
そしてルーキーのポルツは83試合で平均14.7点・11.3リバウンド。ポルツは時債にプレイする姿を見る前にスクワイアーズから手放され、NBAのドラフトでは7巡目でやっと指名されたんですが、力のあることを証明しました。
メルチオーニ&ポルツの2人はこれからネッツの柱になってくれます。
また、メルチオーニ同様ネッツに来て開花したソニー・ダブも83試合で平均13.5点・8.1リバウンドと引き続き活躍。
ダブもまたセントジョンズ大の出身で、ブルックリンの高校に通っていたこの人をリクルートしたのは他でもないカーネセッカでした(当時のカーネセッカはACで、HCはジョー・ラプチックという方でした。ラプチックはかなりの大物です)。タルトも途中でいなくなったし、活躍の場は拡がったかも知れませんね。
【層が薄いんですよね~】
テイラーは80試合で平均8.7点、ディプレは72試合で平均8.8点でした。
テイラーはまずまずのロールプレイヤーでしたが、ディプレに関してはネッツの層の薄さに助けられた感あり。元々得点力のある選手ではなく、どちらかというとディフェンスを買われていた選手で、来シーズンには出場機会が半減。3シーズンでABAからいなくなります。
せっかくのNBAドラフト1巡目を蹴ってネッツに来てくれたアードは平均5.8点・4.6リバウンド。ディフェンスとハッスルプレイが売りだけど、特に目立つ選手じゃありませんでした。
でも、この人はのちにNBAに移って生き残るんです、しかも70年代半ばにセルティックスで生き残るんですね~わからんもんです(そこで優勝を一度経験します)。
【ほんとに薄いんですよね~】
さりげなくネッツでプロ2年目を迎えたルーサー・グリーンは元々少なかったプレイングタイムが更に減少。バンティングはシーズン途中にチームを去りました。
シーズン半ばにはジェフリー・コングドンというPGも加入。シーズン前半はスターズ(このシーズン優勝する強豪チーム)で平均25分ほど起用されており、ネッツでも(出場機会は長くないながら)ローテーション入りしました。この人はプレイオフでも使える人です♪
ネッツは得点力は低いけどFG成功率は高く、確実性の高いバスケットをするチーム・・・だったのかな?
3Pは2シーズン連続でボロボロ。成功数&試投数&成功率すべてリーグダントツの最下位でした(38/170の22.4%。例えばペイサーズは306/1024で成功率29.9%でしたw)。改善すべきは先にも触れたリバウンドの弱さと、あとはTOの多さ。まだまだですな!