N72~73プレイオフ~ディビジョン・セミファイナル~
今年のネッツの相手は、またしてもリーグ最高勝率を残した強豪。去年のカーネルズほどではないけど、57勝27敗をあげたカロライナ・クーガースです。
クーガース(ABA創設初期はヒューストン・マーベリックス、のちにスピリッツ・オブ・セントルイスと名前を変えます)は、昨シーズンまでずっとたいした成果を残していないチーム。それがこのシーズンになって急に強くなったのは、何人かのカギとなる人材を運良く?ゲットできたからでした。
1人目はビリー・カニングハム。65年のプロ入り以来NBAのシクサーズ一筋でプレイしていたFで、67年にシクサーズがセルティックスの連覇を8で止めて優勝したときのメンバーでした。
当時のチームはウィルト・チェンバレン、ハル・グリアーら将来の殿堂入り選手たちがいる強力なチームでしたが、カニングハムがキャリアを重ねて選手としての格を上げて行くにつれて弱体化。この度、カレッジ時代を過ごしたノースカロライナにやって来たのでした(ノースカロライナ大の出身)。カニングハムもまた将来殿堂入りする選手で、このシーズンは平均24.1点・12.0リバウンド・6.3アシストをあげて、なんといきなりシーズンMVPに選ばれています。
2人目はマック・カルビン。昨シーズンまではフロリディアンズにいましたがチームが消滅し、ディスパーサル・ドラフトでクーガースにやって来ました。
高い得点力を持ったPGで、ABAの中期以降を代表する選手のひとりです。
そして3人目はラリー・ブラウン。のちに幾つものチームで指揮を執り、名称と呼ばれるようになるブラウンのHC初仕事がこのクーガースでした。ブラウンは現役を終えたばかりで、しかも就任1年目ながらいきなりコーチ・オブ・ザ・イヤーを受賞しています☆(因みにGMのカール・シェアーはエグゼクティブ・オブ・ザ・イヤーでした)
のちにナゲッツで一時代を築くダグ・モーがブラウンのコーチングスタッフ(AC)にいるのもおもろいです←この2人は同じノースカロライナ大出身だったり、現役時代もチームメイトだったり・・・共通点が多いんです♪
これら強力なニューカマーの他にも、跳躍力のあるスコアラー&優秀なディフェンダー&トラブルメイカーのジョー・コールドウェル、このシーズンの途中にクーガース入りしたシューターのスティーブ・ジョーンズ、ロールプレイヤーながらABA消滅後もNBAで生き残るCのトム・オーウェンス、スティールの名手テッド・マクレイン、ダニー・マニングの父エド・マニング、将来NBAでコーチになるジーン・リトルズなどロスターはキャラクター揃い。
我らがネッツとの戦力の差は明らかで、シーズン中の対戦成績でもネッツは3勝8敗と負け越しており、いくら何でも勝ち目は薄そうです。
昨シーズンは、そんな勝ち目の薄そうな状況からまさかのファイナル進出を果たしたわけですが、今シーズンはいかにも現実的な結果となってしまいます・・・
ロウリー(ノースカロライナ州の州都。クーガースはロウリーの他、グリーンズボロ、シャーロットのアリーナを本拠地としていました)で行われたゲーム2を、オーバータイムの末にモノにするのが精一杯。ネッツは1勝4敗であっさり負けてしまいました。
ジョージ・カーターは平均21.2点・9.0リバウンド、ビリー・ポルツは平均19.0点・11.0リバウンド・FG成功率60.7%をマークするなどシーズンを上回る活躍ぶり。ジョン・ローチは不発だったけど、その代わり?シーズン中はしがない控えだったジョニー・バウムが平均38.2分のプレイで平均18.8点と大活躍しました。
バウムはABAとNBA合わせて4年しかプレイせず、キャリア平均6.1点という目立たない選手なんですが、このシリーズに関しては確変!勝利をあげたゲーム2では両チームトップの26点をマークしました☆
この他にもブライアン・テイラーが平均13.6点、ビル・メルチオーニが平均13.2点・6.2アシストをマーク。ジム・チョーンズ&トゥルーパー・ワシントンはシーズンを大きく下回る出来だったけど、チーム全体としてはがんばった方じゃないかと思うんです。よね?
というワケで、ミラクルが2年連続起こることはありませんでした。そして、クーガースは次のディビジョン・ファイナルでカーネルズに敗れるのでした。おしまい。