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Washington Bullets 96年オフ

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華96年オフ

 

プレイオフ真っ只中の5月頭、ジョン・ナッシュが突然GMを辞任しました。

 

【GM交代】

 

ナッシュは辞任の理由を「個人的なモノ」として多くを語らず、関係者を驚かせました。

ただ、解任の噂もなくはなかったようで、近しい人に「クビになるよりは辞任したい」と漏らしていたとか。

噂の根拠とされたのは、ジュワン・ハワード&クリス・ウェバーとの関係性でした。

 

ハワードとは最初の契約交渉以来微妙。

ウェバーとは、昨シーズンの故障欠場中、ウェバーがホームゲームでチームに帯同せずにテレビに出演したこと、肩の治療経過をチームドクターに診せるのを拒否したこと、などで揉めていました。

 

ナッシュ辞任を受け、球団社長のスーザン・オマリーは、フロントで新アリーナの建設計画を手伝ったりしていたウェス・アンセルドを後任に推薦。

そして、その翌日にアンセルドのGM就任が決定。5年契約です。

 

オマリーはアンセルドと仲が良く、アンセルドがHCを辞任したときも、悪いのはコーチングではなくチーム作りだと思っていたようです(HC辞任にはナッシュから多少の圧があった模様)。

 

【ハワード①】

 

7月14日、オプションを行使してFAとなったハワードが、ヒートとの契約に合意。

 

ブレッツは当初7年間7800万ドルほどをオファーしますが、他チームが獲得に動いていることをみて、9000万ドルまでアップ。

しかし、それを更に上回る7年間1億ドルちょい、という高額契約でヒートへ行ってしまいました。

 

【ハワードが移籍したので】

 

・移籍翌日、トレイシー・マレーと契約。

・同日、ラシード・ウォレス&ミッチェル・バトラーをブレイザーズに出して、ロッド・ストリックランド&ハーベイ・グラントを獲得。

ロレンツォ・ウィリアムスと契約。

クリス・ホイットニーと再契約。

 

マレーは6フィート7インチのSFでシューター。

昨シーズン、ラプターズでブレイクしました。

 

ストリックランドはキャリア8年のPG。

アウトサイドはイマイチですが、得点とアシストを両立でき、ブレイザーズではオールスターGに引けを取らない成績をマーク。

アンセルドは「リーグでトップ4に入るPG」と高く評価しています。

 

昨オフもナッシュは獲得に動いていますが、そのとき無理に話を進めなかったのは、カルバート・チェイニーを出したくなかったのと素行の悪さが気になったから。

ストリックランドは過去の所属チームでチームメイトやHCと衝突しており、トレード後も早速、契約更改を求めて身体検査を拒否。

アンセルドと話し合って合意するまで2ヶ月以上かかります。

 

通常、トレードされた選手は、移籍先のチームが免除しない限りは1週間以内に身体検査を受けなければならず、それを拒否された場合、トレードをなしにすることも出来ます(契約更改もしなかったようなので、免除したんですかね)。

 

グラントは4シーズン振りの古巣復帰。ブレイザーズではストリックランドのいちばんの友人だったとか。

かつては移籍したがっていましたが、今回は、若くエキサイティングなチームだとして復帰を喜びました。

 

ウィリアムスは6フィート9インチのC/F。得点力はありませんが、過去2シーズン、マブスでリバウンドとブロックで存在感を見せていました。自身初の複数年契約は7年です。

 

自チームのFAで唯一残ったのがホイットニー。

他チームからもっと大きなオファーがあったようですが、ジム・ライナムHCを気に入っていたこと、いずれNBAでスターターになれるという自負から短期契約を望んだこと、が残留の決め手のようです。

 

【ハワード②】

 

ウィリアムスと契約した数日後、ハワードとヒートの契約がリーグから却下されました。

 

このオフのヒートは多くのロールプレイヤーをリリースし、ティム・ハーダウェイと再契約を結び、新たにPJブラウンと契約。

そこにハワードを加え、更にアロンゾ・モーニングとも再契約を結んでいました。

 

ところがリーグは、ハーダウェイ&ブラウンにあるインセンティブを「クリア条件が楽すぎる」として認めず、モーニングとの再契約も、ハワードとの契約以前に合意していた、としたんですね。

インセンティブはサラリーキャップに計上されるべき金額、モーニングはラリー・バードの例外条項に基づいてサラリーキャップの枠を超えて契約を結んだ、故にハワードと契約する余地はないよ、というワケです。

 

そして、リーグはブレッツにハワードと再交渉することを許可。

選手会はハワードとヒートに非はないと庇いますが、こうなるとハワードもブレッツに戻ることを望みました。

 

ただ、ブレッツは、ハワードがヒートと合意したところでハワードの権利を放棄しており、ルールでは来シーズン開幕後でなければ再び契約は出来ません(しかも未契約だった場合)。

また、放棄後にストリックランドらを獲得したためにキャップの余裕もありませんでした。

 

そこでリーグは、「97年のドラフト1巡目指名権を諦める」ことを条件にブレッツにハワードとの契約を許可。

ヒートと結んだのと同規模の7年契約で合意しました。

 

ヒートがこの件を法廷に持ち込んでいたため、最終的にどちらのチームでプレイするかは裁判所の判決を待つ必要があったのですが、ヒートはここで訴えを取り下げ。

ヒートとリーグは争うことをやめ、晴れてハワードのブレッツ帰還が決まりました☆

 

【のちのスターゲット】

 

アシュラフ・アマヤ、マット・フィッシュ、ベン・ウォレス、ジャレン・ジャクソンと契約。

 

アマヤはグリズリーズでまずまずのルーキーシーズンを過ごしたPF。

フィッシュはCBAを経て94年にNBAデビューした白人C。

ウォレスについては、チャールズ・オークリーのキャンプで印象を残したとか、色々有名かもなので省略。とりあえずこの時点では何も騒がれていませんでした。

ジャクソンはジャーニーマンのシューター型SGです。

 

アマヤとウォレスはブルーカラータイプのハードワーカー。

フィッシュは、過去の所属チームでファンから支持されていた選手で、いずれもアンセルドの色が出た人事かもしれません。

 

【AC】

 

8月にACのデレック・スミスが心臓発作で逝去。クルージング中のことだったようで、まだ34歳の若さでした。

 

新ACにはバズ・ブレイマンが就任。

この人は「ショット・ドクター」とも言われるシュートのスペシャリストで、実は昨シーズンからライナムのコーチング・スタッフに入っていました(シューティング担当だったためか、記録上は非AC)。

 

ライナムがシクサーズでHCを務めていたときにACを務めており、その縁からか、93~94シーズン頃からブレッツの選手の何人かを指導。

ウェバーも以前から個人的に指導を受けており、昨オフには「チームが雇わないなら個人的に契約する」とまで言っていたようです。

 

因みに、メリーランド大出身で、シューティング・コーチとして最初に名を挙げたのも同大なので、今回は故郷凱旋ですかね。


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