王92年オフ
ミッチ・リッチモンドを軸にしたチーム作りが本格的に始まる、といったところでしょうか。まずはHCです。
【ウォリアーズ・コネクション】
暫定HCだったレックス・ヒューズはチームを去り、ゲーリー・セントジーンが新HCに就任しました。
セントジーンはNBAでの選手経験もHC経験もなく、カレッジ時代もバスケットをプレイしていなかった異色の人。
キャリアのスタートは高校のHCで、NBAではバックス、ネッツ、ウォリアーズでACを務めてきました。
バックス、ウォリアーズではドン・ネルソンのもとで研鑽を積んでおり、アップテンポなバスケットを目指します。
ACにはマイク・シューラー、デイブ・ウォールを招聘。
シューラーは昨シーズン途中までクリッパーズのHCを務めており、87年にはブレイザーズでコーチ・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。
ウォールは、NBAではAC歴の長い人。直近ではヒートのACを創設から3年間務めました。
HCとしては、ネッツで指揮を執ったことがありますが、2シーズンと1ヶ月ほどで解任されています。
【期待のルーキー】
ドラフトでは1巡目第7位指名権を使ってメリーランド大のウォルト・ウィリアムスを指名。
ウィリアムスは6フィート8インチのスウィングマン。
ハイソックスがトレードマーク。4年次にマークしたシーズン776点は同大の記録です(バイアスを抜いて)。
突然ですが、80年代後半のメリーランド大は危機的な状態でした。
・86年にレン・バイアスがドラフト直後に逝去。
・当時のレフティ・ドリーセルHCがバイアスの死&それに伴う不祥事の発覚などで辞任。
・後任のボブ・ウェイドが立て直しを誓うも、リクルートや選手への対応でNCAAの規定違反を犯し(更にそのことでNCAAに嘘を吐き)、3年で辞任。
ウェイドの行為に対するNCAAからのペナルティは重く、88年のNCAAトーナメント出場は記録から抹消。
更に、メリーランド大は91・92年のポストシーズン出場停止+90~91シーズンのテレビ中継がなしになってしまいます。
ウィリアムスが入学したのはウェイド体制の3年目。
つまり在学期間がペナルティ期間と重なるわけですが、ウィリアムスは他校へ移ったりしませんでした。
この厳しい時期に中心選手として活躍したウィリアムスの存在は、同校にとって非常に大きいようです。
NBA入り以降はシューター化していきますが、この頃は、オールラウンドに活躍できるスコアラーといった感じ。
速攻でのボール捌きなどPGのようで、その多彩さからか「マジックⅡ世」とも呼ばれていました。
「ザ・ウィザード」という愛称もあります(たぶんこっちの方が有名)。
因みに2巡目ではモアヘッド州立大のブレット・ロバーツというSFを指名。
昨シーズンのNCAAディビジョンⅠの得点王でした。
この人はロスターに残れず、今後もNBAではプレイしませんが、91年にMLBのツインズからドラフト指名を受けており、今後マイナーリーグなどで野球をやります。
【FA戦線は地味】
・デニス・ホプソンは引き留めず、ドウェイン・シンサス、レス・ジェプセンらも解雇。
・ビンセント・アスキュー、マーティ・コンロンと契約。
アスキューは6フィート6インチのスウィングマン。
90~91シーズンの終盤にウォリアーズに加入してからキャリアが安定し、昨シーズンは初めてローテーション入りを果たしました。
コンロンは6フィート10インチのビッグマン。
NBAデビューは昨シーズンのソニックス。90年のオフに一度キングスと契約を結んだことがあります。
ところで、ウィリアムスとの契約交渉は難航。
開幕まであと一週間ほどという10月末にようやく決着がつきました。
内容は6年間1300万ドル以上。4年目の後(96年オフ)にFAになれる権利があります。