王93~94シーズン
このシーズン、キングスにとって恐らくいちばん大きな出来事は、ボビー・ハーリーの交通事故でした。
●アクシデント
12月12日の試合が終わって家に帰る途中、ダニエル・ウィーランドという画家の車に追突され、シートベルトを締めていなかったハーリーは車外へ。
チームメイトで同じくルーキーのマイク・ペプロウスキーが事故の5分ほど後にその道を通りかかり、第一発見者としてハーリーを助けたんですが、ハーリーは生命の危機に関わるほどの重傷。
背中の骨折、肋骨を複数本骨折、肩の骨折、気管断裂、膝の靱帯断裂…シーズン中の復帰は絶望となります。
因みに、開幕からスターティングPGを務めていたハーリーでしたが、プレイした19試合の出来は平均7.1点に6.1アシスト・FG成功率37%。
シュートが決まらず、カレッジ時代は得意だった3Pも不発(15本打って成功は2本だけ)。TOも多かったです。
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チームの方は開幕4試合を3勝1敗としたところからずるずると連敗。
年末から年明けにかけての12試合を7勝5敗、オールスターブレイクを挟んでの8試合を6勝2敗とするなど好調だった期間もありますが、借金を返すほどの威力はありません。
最終成績は28勝54敗。
得点力がリーグ全体で真ん中くらいまで落ち、でもディフェンスのまずさは変わりませんでした(平均失点は下から3番目)。
【いよいよ】
朗報だったのは、ミッチ・リッチモンドのエース復活。
昨シーズン後半を棒に振ったリッチモンドは絶好調で、リーグ7位の平均23.4点をマーク。
これはNBAの全Gの中でトップの数字で、キャリア初となるオールNBA2ndチームにも選出されました。
127本の3Pを40.7%で決めているのも◎。リッチモンドはプルアップの3Pも多い印象です。
もちろんオールスターにも選出され、今年はちゃんと出場。しかもファン投票で選ばれたので先発出場でした☆
【主力は変わらず】
ハーリーだけでなく、2年目のウォルト・ウィリアムスも故障で不発。10月に左足を疲労骨折し、開幕から3週間ほど出遅れ、シーズン終盤にも故障。
トータル57試合しか出られず、平均11.4点・FG成功率39.0%・3P成功率28.8%と低迷しました。
そのため、リッチモンドの脇を固めるのはこのシーズンもライオネル・シモンズ、ウェイマン・ティズデイル、スパッド・ウェッブ。
スタッツで見ると3人ともほぼ例年通りなので、これではチームは強くなりません。
ランディ・ブラウンは61試合で平均4.5点・2.0アシスト・1.0スティール。
この頃のブラウンは両Gの控えを任されていたような感じです。
【Cの問題】
ランディ・ブリューワーは開幕2試合でスタメン落ち。
ペプロウスキーがその座を引継ぎ、7試合目でデュアン・コーズウェルがスターティングCに戻るんですが、コーズウェルはその試合で左足を負傷。
そんなワケで序盤はペプロウスキーががんばりました。
しかし、2巡目下位のルーキーに荷が重いのは明らかで、年末からはピート・チルカットがスターティングCとしてプレイ。
これは、最初はそこそこ機能したのか、12試合を7勝5敗とした時期と重なります。
ただ、それも長くは続きません。そして新C獲得に動きました。
【Cその2】
・トレード期限直前、チルカット&94年のドラフト2巡目指名権&99年のドラフト1巡目指名権をピストンズに出して、オールデン・ポリニスを獲得。
元々は、コーズウェルとポリニスのトレードだったんですが(ピストンズはショットブロッカーとして評価)、コーズウェルがメディカル・チェックに引っかかって破談。
やり直したのがこのトレードでした。
因みにコーズウェルでトレードが成立しかかったとき、ピストンズからのパッケージにはデビッド・ウッドも含まれており、キングスはロスターを空けるためにエバース・バーンズを解雇しています。
ポリニスは6フィート11インチのC/Fでハイチ出身。
87年のドラフト1巡目第8位で指名されて、ピッペンとトレードされたのが有名。
もちろんピッペンと比較できるような選手ではありませんが、ロールプレイヤーとしては悪くなく、このシーズンはピストンズで平均13.1点・12.3リバウンドをあげていました。
キングスでのポリニスは、数字的にはピストンズ時代より少し落ちますが、それでも平均9.8点・11.4リバウンドをマーク。
過去数シーズン、キングスに在籍したどのCよりもよいです。
3月11日のバックス戦では23点・21リバウンドというパフォーマンスを披露☆
オフェンス・リバウンドに強く、平均4.4本は見事でした。
【最後に細々】
・12月頭にラブラッドフォード・スミス、トレバー・ウィルソンと契約。
・年明けにジム・レスを解雇。
・3月頭にアンドレ・スペンサーと契約。
スミスは開幕時にはブレッツ、ウィルソンはレイカーズにおり、それぞれ解雇されてフリーになっていたところをキングスが拾ったのでした。
ウィルソンは6フィート7インチのF。プレイスタイルはPF寄りで、アウトサイドはありません。
ウィリアムスの怪我やインサイドの層の薄さから出場機会が多く、2桁得点をあげることもしばしば。
52試合で平均8.0点・4.7リバウンドはなかなかです。
スミスはアンダーサイズなSG。ブレッツ時代は印象的な活躍もありましたが、キングスでは不発。
これがNBAでは最後のシーズンとなります。
スペンサーは29歳の苦労人SF。86年のドラフトにかからず、CBAや海外のクラブチームを経て、昨シーズン、ホークスでNBAデビューしました。
このシーズンの開幕時はウォリアーズに在籍。キングスでは23試合で平均6.0点と、これまた悪くはありませんでした。