王85~86シーズン
目立った補強はドラフトくらい。
移転で別に戦力が上がるワケではなく、開幕直後から負けが先行します。
序盤の主なスターターは、昨シーズン終盤に多く起用された、ラリー・ドリュー、レジー・セウス、エディ・ジョンソン、オーティス・ソープの4人にルーキーのジョー・クラインを加えた5人。
これは上手くいきません。
フィル・ジョンソンHCは、12月に入るとソープを外してマーク・オルバーディングを先発させ、年末に9勝21敗となったところでは更に大幅にラインナップを変えます。
セウス
マイク・ウッドソン
テリー・タイラー
オルバーディング
ラサール・トンプソン
タイラーは11月半ばにキングスと契約したばかり(見返りに86年のドラフト1巡目指名権と87年のドラフト2巡目指名権を放出)。
78年のプロ入りから昨シーズンまでピストンズにいたFで、昨プレイオフではセルティックスに相手に活躍もしたんですが、このオフは契約を結べず所属先がありませんでした。
この新ラインナップは旧ラインナップよりもディフェンシブ。
数字上、劇的な変化は見受けられないんですが(と思う)、チームの調子は上がります。
残りの52試合を28勝24敗と勝ち越し、37勝45敗でシーズンを終了。
プレイオフにも第7シードで進むことが出来ました(第8シードは35勝)。
【スターター】
セウスは全82試合でスタメンを務め、平均18.3点・9.6アシスト。
アシストはリーグ3位で、6フィート5インチの選手が750アシスト以上を記録したのは史上2人目の快挙でした。
元々アシストの多い選手ですが、ラインナップ変更後は2桁のアシストを量産。
得点&アシストのダブルダブルを連発し(トリプルダブルも1試合)、チームをリードしました。
難点はTOの多さで、2年連続リーグ2位(3度目)。今年はアベレージだと4本もあります。
4シーズン振りにスターターに定着したウッドソンは、平均15.6点をマーク。
数字的にはベンチ・スタートだった昨季を下回っている項目が多いんですが、この人の方がジョンソンよりディフェンスがよいです。
トンプソンは平均12.8点・9.6リバウンド。
ベンチ・スタートのときからプレイングタイムは長く、チームで唯一頼りになるCでした。
年末以降は多くの試合で得点&リバウンドのダブルダブルをマークしています。
ベテランのオルバーディングは81試合中64試合でスタート。リーダー的な存在だったようです。
スタッツは地味ですが、スクリーンをセットしたり、ゴール下で体を張ったり、というスタイルはジョンソンやウッドソンとの相性が良かったのかも。
平均3.3アシストもよいです(G陣以外ではチーム最多)。
新加入のタイラーもまたディフェンスが◎
6フィート7インチなんですが手が長く、ジャンプ力もあり、ブロックが多いんです。
このシーズンはオールスターのスラムダンク・コンテストにも出ました。オーソドックスなダンクをしたせいか最下位でしたが。
【ベンチ】
ジョンソンは3シーズン振りに得点アベレージが20点を割りましたが、それでも平均18.7点はチームトップ。
6マンとはいえそれがチーム得点王というのは珍しく、6マン・アワードの投票でも3位でした。
控えになったドリューにとっては、キングス加入後ワーストのシーズン。多くのカテゴリーで数字を落としました。
ゲームの中ではセウスと併用されることも多く、コンボガードみたいな感じでしたかね。
因みに、チーム1年俸が高いのはドリューです。
12月半ば、アダムスが解雇され、代わりに契約したPGがベテランのマイク・ブラッツ。
この人はキャリア9年目で、これが6チーム目。出番は少なく、これが現役最後のシーズンです。
CのケリーもこれがNBAでのラスト。チーム唯一の7フッターでしたが、出場機会は限定的でした。
【若手たち】
2年目のソープは、スターターを外されたのが響いたか、スタッツのほとんどがルーキーイヤーを下回りました。
オルバーディングと違ってスクリーンをセットするのが苦手?嫌い?だったようで、これが響いたかも知れません。
長いキャリアを送るソープが、最初15シーズンで唯一得点アベレージが10点を割ったのがこのシーズンです(平均9.9点)。
クラインは80試合で平均5.2点・4.7リバウンド。
シーズン序盤は積極的に先発としても起用されましたが、期待に添える活躍はできませんでした。
のちに「スターではないけれど、自分の役割を受け入れ、毎晩ちゃんとプレイする準備が出来ていて素晴らしい」と評されるなど悪い選手ではないんですが、指名順位には見合ってません。
ドラフト外ルーキーのデビッド・コークは1ヶ月ほどで解雇され、CBAへ。
一方、ようやくNBAデビューとなったカール・ヘンリーは28試合の出場でしたが、シーズン最後まで生き残り、プレイオフのロスターにも入りました。
【移転の成果】
暫定アリーナは田んぼや農場に囲まれた田舎にあり、ロッカールームはリーグ最小とも言われました。
ただ、会場のエネルギーは高く、それは他チームの選手たちも認めるほど。
2月に地元で行われたセルティックス戦(キングスが勝利)のあとには、ラリー・バードも絶賛していました。
「今年のサクラメントは、俺がリーグ入りして以来、ベスト・フィーリングだね。ファンは下品じゃないし、口汚い野次をとばしたりもしない。良い試合が観たいんだ」
昨年4月、故郷の近くでプレイすることについて聞かれたとき、「サクラメントはカリフォルニアじゃない」と懐疑的だったセウス(ロサンゼルス出身)も、新天地でのプレイが気に入ったようです。
チケットは全試合ソールドアウト。
このシーズン、チケットの売り上げ枚数は、試合平均5000ほど。
9000を超えたのはキングスを含め、5チームしかありません。
移転はとりあえず大正解でした☆