J74年オフ:創設
74年3月7日、NBA18番目のフランチャイズとしてニューオリンズ・ジャズが誕生しました。
オーナーグループは、ビバリーヒルズを拠点とするフレッド・ローゼンフェルドを中心とした6人(サム・バティストン、アンドリュー・マーティン、シェルドン・ベイチョック、ジェロルド・ラビン、フレッド・ミラー)。
加盟金は615万ドルでした。
チーム名の由来は説明不要でしょうか。
他に”Cajuns(ルイジアナ州の住人の意)、Dukes(デューク・エリントンのことでしょうか※この年亡くなっています)、Crescents(ニューヨークとニューオリンズを結ぶ列車の名前)、Pilots、Blues、Deltas)といった候補がありました。
チームカラーには、ニューオリンズ・マルディグラ(謝肉祭のひとつ)の色でもある紫・緑・金が選ばれています。
【コーチ陣&GM】
初代GMはビル・バートカ、初代HCはスコッティ・ロバートソン、ACにはエルジン・ベイラー&サム・ジョーンズが就任しました。
バートカは、51~61年まで高校や大学のコーチを務めたのち、サンタバーバラ市の職員として働く一方、”Bertka's view”というスカウティング・サービスをスタート(これは全米の一流大学が利用するサービスとなります)。
68年からはレイカーズのスカウトやACを務め、72年の優勝に貢献しました。
ロバートソンは、生まれはアーカンソー州なんですが、高校&大学はルイジアナ州。
大学卒業後、マイナーリーグで少しだけ野球をやるんですが、52年からルイジアナ州の高校でバスケのコーチをスタート。
64~74年はルイジアナ工科大のHCを務めていました。
ベイラーはNBA史上に残る名選手のひとり。
現役時代はレイカーズ一筋で、キャリアハイがそれぞれ平均38点・19リバウンドを超えるSFでした。
71~72シーズンの序盤を最後に引退したばかりで、この当時40歳。のちに殿堂入りします。
ジョーンズは、ベイラーと同じ時代にセルティックス一筋でプレイしたSG。こちらものちに殿堂入りをします。
セルティックスでは10度の優勝を経験。
69年の引退後はカレッジのHCを務めていました。
【エクスパンション・ドラフト】
デニス・オートリー(ブルズ)
ジム・バーネット(ウォリアーズ)
ウォルト・ベラミー(ホークス)
ジョン・ブロック(キングス)
バリー・クレメンス(キャブス)
EC・コールマン(ロケッツ)
ラマー・グリーン(サンズ)
ネイト・ホーソーン(レイカーズ)
オリー・ジョンソン(ブレイザーズ)
ボブ・カフマン(ブレーブス)
トビー・キンボール(シクサーズ)
スティーブ・カバースキー(セルティックス)
スチュ・ランツ(ピストンズ)
ディーン・メミンガー(ニックス)
ルーイー・ネルソン(ブレッツ)
カーティス・ペリー(バックス)
アイザック・ストールワース(ソニックス)
キャリア5年以上が17人中9人、3人(ベラミー&ブロック&カフマン)がオールスター出場経験あり…とベテランを多く指名しています。
ただ、ベラミーの指名に関しては事情がありました。
【”ルイジアナ・パーチェス”】
カフマン&メミンガー&74年のドラフト1巡目指名権&75年のドラフト1巡目指名権&75年のドラフト2巡目指名権&76年のドラフト2巡目指名権&80年のドラフト3巡目指名権をホークスに放出。
見返りに、ピート・マラビッチを獲得しました。
ホークスはこのトレードにあたって、上記パッケージに加え、”エクスパンション・ドラフトでベラミーを指名するように” とジャズに要求してきたというわけです。
マラビッチはキャリア4年のオールスターG(6フィート5インチ)。
4シーズンで平均24.3点・4.2リバウンド・5.6アシストをマークしており、過去2シーズンはオールスターにも出場しています。
マラビッチはホークスに馴染まず、チーム成績も芳しくありませんでしたが、ジャズのフロントは地元ファンを惹きつけるため、その華やかなプレイスタイル、LSUの大スターだったという実績に。
ニューオリンズにはNFLのニューオリンズ・セインツが既にあり(人気もあった模様)、それに対抗するにはマラビッチの存在が必要だと考えたんですね。
この大型トレードは”ルイジアナ・パーチェス”と呼ばれ、インパクトもかなりあったかと思うんですが、ジャズがホークスに放出したパッケージ内容を知ったマラビッチは「それだけ?」と応えたそうです。
【ドラフト】
1巡目指名権(10位)はホークスにあげてしまったので、チーム史上初の指名選手は2巡目第28位のアーロン・ジェームス。
ジェームスは6フィート8インチでやや細身のSF。
生まれも育ちもニューオリンズで、カレッジもルイジアナ州内のグランブリング州立大という地元っ子です。
学生時代(主に高校時代でしょうか)は、ブルース・シールズ(73~78年にABAとNBAでプレイ)や同州内の優秀な黒人プレイヤーたちとプレイすることでスキルアップ。
カレッジ4年次の平均32.1点は全米一位でした。
ABAのユタ・スターズからも指名されましたがジャズをチョイス。
この指名はロバートソンHCの希望でした。
ロバートソンは、ルイジアナ工科大のHC時代にジェームスをリクルートしようとして失敗した過去があり、今回フロントを説得したようです。
ジェームス自身は、ニックスやブルズが興味を持っているという噂は知っていたけれど、ジャズが関心を持っているとは知らなかったんだとか。
9巡目第154位で指名したのはケン・ボイド。
ボストン大出身のSFで、カレッジ時代は、所属カンファレンスでは有数のスコアラーでした。
【更にベテランを追加】
・レイカーズからメル・カウンツを獲得。
・クレメンス&76年のドラフト2巡目指名権をブレイザーズに出して、リック・ロバーソンを獲得。
・オートリー&ホーソーン&ペリー&76年のドラフト1巡目指名権をサンズに出して、ニール・ウォーク&75年のドラフト2巡目指名権を獲得。
・カバースキー&サンズからもらった指名権をバックスに出して、ラス・リー&75年のドラフト1巡目指名権を獲得。
カウンツはキャリア10年の7フッター。
10年のうちの半分以上をセルティックスとレイカーズで過ごしており、優勝を2度経験しています。
ロバーソンはキャリア5年のC/F。
キャブス、ブレイザーズで過ごしたここ3シーズンは、得点とリバウンドでダブルダブルのアベレージを残しています。
ウォークもまたキャリア5年のC(6フィート10インチ)。
プロ入り以来サンズ一筋で、オールスタークラスの選手ではありませんが、2シーズン前に平均20点・10リバウンドをクリアしています。
リーはキャリア2年のSF。
不作で有名な72年ドラフト組で、1巡目第6位指名だったんですが、バックスでの2シーズンはパッとしませんでした。