帆86~87シーズン
悪夢のシーズンでした。
開幕6戦を3勝3敗とした後、12連敗。
12連敗中にはマーカス・ジョンソンが首を負傷し、シーズンの残りどころか、キャリアが実質終わってしまいます。
●アクシデント
開幕11試合目、地元で行われたマブス戦。
ジョンソンはベノイト・ベンジャミンと衝突して首を負傷。
ジョンソンは、一瞬でしたが上半身の感覚を失い、病院へ。
当初、2~3週間の離脱とされますが、その後の検査で頸椎のヘルニアと判明。
「手術した場合、最低3ヶ月の離脱でシーズンの残りを欠場することもあり得る、手術しない場合は引退せざるを得ないだろう」という重傷でした。
つづく
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ノーム・ニクソンに続いてジョンソンまで失ったクリッパーズは、12連敗のあと、1勝を挟んで16連敗。
41試合経過時点で5勝36敗と、72~73シーズンにシクサーズが作ったリーグ最低記録を更新するんじゃないか?と噂されるくらい負け続けました。
そんな中、エルジン・ベイラーは1月にトレードを2件成立させます。
●将来に向けて
・セドリック・マクスウェルをロケッツに出して、87年のドラフト1巡目指名権&89年のドラフト2巡目指名権を獲得。
・カート・ニンフィアスをピストンズに出して、87年のドラフト1巡目指名権&2巡目指名権を獲得。
マクスウェルは、トレードまでほぼすべての試合でスターティングSFを務め、平均13.6点・7.2リバウンドをマーク。
ニンフィアスも、こちらは主に控えでしたが、ローテーション・プレイヤーでした。
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弱いチームが将来に向けて動いたので、ロスターは更に薄くなりましたが、オールスターブレイク前後にちらほら勝ち星を拾ったお陰で、2月末には10勝目。
最低記録更新は免れました。
ただ、3月は2勝のみで最後は14連敗。
12勝70敗はチーム史上ワースト&リーグダントツ最下位です(リーグ史上3番目に悪い成績でもあります)。
このシーズンのNBAは、クリッパーズの次に成績が悪いチームでも24勝しており、大きく引き離されてのビリ。
イーストのチームには1勝しかできませんでした(ネッツ)。
ブロックとスティールは割と多かったんですが、攻守共に悪く、特にディフェンス面は相手にやられ放題。
平均得失点差は-11.4点もありました。
【ニクソン不在のPG】
主にスタートしたのはダーネル・バレンタイン。
開幕から1ヶ月ほどは欠場しましたが、65試合中52試合で先発し、平均11.2点・6.9アシスト・1.8スティールでした。
ラリー・ドリューは、60試合で平均12.4点・5.4アシスト。
ただ、バレンタイン不在の序盤は、スターティングPGとして18点・7アシスト近いアベレージをマークしており、控えに回ってからも得点源のひとりとして頑張りました。
開幕直後には8年目のジェフ・ハストンと契約。
バレンタイン不在に加えてドリューの故障もあり、すぐスターターも任されますが、ドリューが戻ってきた12月末に解雇。
これが、NBAでは最後のシーズンです。
【SG】
ジョンソンが抜け、マイク・ウッドソンがスターターに定着。
74試合で、チームトップの平均17.1点をマークしました。
ただ、ミニッツは平均29分ほど。
けっこうムラがあったこと、大敗する試合が多かったこと(ガーベッジタイム発生)が関係しているのかなと。
3年目のランカスター・ゴードンは、ジョンソン離脱の緊急事態も活かせず。
出場機会は増え、多くのカテゴリーで自己ベストのシーズンでしたが、それでも平均7.5点。
こちらも安定感がありませんでした。
年末にはFAだったクインティン・デイリーと契約。
5年目のデイリーは得点力のあるGで、昨シーズンまでブルズの6マン的な役割を担っていました。
ただ、以前からドラッグの問題を抱えており、昨シーズンはリハビリ施設にも入るなど、あと1回やらかしたら2年間追放という状態。
開幕時には所属先がなく、CBAのチームに加わったばかりでした。
平均20分に満たない出番で、平均10.6点はさすが。
フロントはオフのうちから関心を持っていたようで、ジョンソン離脱を受けて獲得に踏み切りました。
ドウェイン・ポリーは、1試合で解雇されています。
【SF】
マクスウェル放出後は、ケニー・フィールズ→ロリー・ホワイトと繋がりました。
フィールズは3年目のSFで、開幕直後にバックスから解雇されたところをクリッパーズが拾いました。
バックスでは芽が出ませんでしたが、元は84年のドラフト1巡目指名。
故障もありましたが、44試合(17試合でスタート)で平均8.7点と自己ベストのシーズンとしています。
2月末からはホワイトの番。
シーズン序盤は背中を痛めていたという話もあり、出場機会すらまちまちだったんですが、年末頃から徐々に復調。
最終的には68試合(35試合がスタート)で平均9.2点でした。
【インサイド①】
このシーズン、数少ない吉報がマイケル・ケイジのブレイクでした。
スターティングPFに定着したケイジはミニッツが16分以上増え、80試合で平均15.7点・11.5リバウンド(リーグ6位)・1.2スティール。
オフェンス・リバウンドに強く(チームのFG成功率が低いのも関係してそうですが)、その総数はリーグ3位でした。
ティム・ケンプトンは、シーズン序盤はほぼガーベッジタイム要員でしたが、ニンフィアスの移籍以降ミニッツが増加。
最終的に、6巡目指名ながらも66試合に出場しました。
ステフォンド・ジョンソンは開幕から3週間ほどで一度解雇されますが、1月末に再び契約を結び、その後はシーズン終了まで残りました。
再加入後は、ときどきまとまった出番を得ています。
【インサイド②】
ベンジャミンはシーズンの大半でスターティングCを務め、72試合で平均11.5点・8.1リバウンド・2.6ブロック(リーグ4位)。
主要スタッツのアベレージはアップしましたが微増。ムラが激しく、FG成功率は45%ほどでした。
昨シーズン後半の活躍はフロックだったんですかね。
この人はドラフト上位指名の失敗例として名前の挙がる選手なんですが、態度が悪い、(ドラフト前に懸念されたように)感情的で退場になることもあるなど、プレイ以外にも色々あったようです。
2月半ばには、ロケッツからもらった2巡目指名権をブルズに出して、アール・キュアトンを獲得。
キュアトンは7年目のF/C(6フィート9インチ・210ポンド)。
スキルには欠けますが、チーム事情に応じて複数のポジションに入れるロールプレイヤー。プレイエリアは広いです。
因みに、ブルズにあげた指名権は条件付きで、キュアトンが来シーズンもクリッパーズに残れば2巡目、残らなければ3巡目に落ちるものでした。
【ジョンソンつづき】
当初、ジョンソンは手術を拒否。
これを受け、フロントはジョンソンに出場停止処分を課し、更にサラリーの支払いをストップしました(87年2月)。
これは、ジョンソンの契約に「永久的に障害を患うことになった場合、1年間のサラリーを2年に分割する」という条項があったからだそう。
チームの判断は「手術しない=治らない」ということですかね。
ジョンソンの代理人は、選手会に不満を申し立てました。
ジョンソンは、その後、複数の医師の見解を仰ぎ、87年3月末に手術を受けます。
手術前、フロントともミーティングを行ったジョンソンは、復帰に向けてワークアウトをすること、術後にチームとの和解を試みることを明らかにしますが、チームとの和解は難航。
また訴訟沙汰になってしまいます。