☆94年オフ
このオフのマジックは、的確且つ理想的な補強を施します。
【まずはドラフト】
ドラフト1巡目第17位でブルックス・トンプソン、2巡目第31位でロドニー・デントを指名。
トンプソンはサウスポーのPG。
テキサスA&Mで2シーズン、オクラホマ州立大で2シーズンプレイしました。
昨シーズンの3P成功率は約48%とシュート力があります。
デントは6フィート11インチのビッグマン。
ジュニア・カレッジで2年、ケンタッキー大で2年過ごしました。
ケンタッキー大では主にスターティングCとして起用されましたが、4年次の昨シーズンは左膝の負傷で11試合しかプレイしていません。
【今後の補強に向けて】
・スコット・スカイルズ&96年のドラフト1巡目指名権&98年のドラフト1巡目指名権をブレッツに放出し、96年のドラフト2巡目指名権&98年のドラフト1巡目指名権を獲得。
スカイルズ放出の噂は、ペニーを獲ったときからあったようですが、今回はサラリーキャップに空きを作るという大事な目的も。
マジックの意図がバレバレだったためか取引はなかなかまとまらず、1巡目指名権を2つも出さねばなりませんでした。
キングスのスパッド・ウェッブと交換という話もありましたが、この場合、ウェッブは契約を更改せねばならず破談しています。
【スカイルズ放出直後】
スターターの穴、PFに強力な助っ人を獲得。
スカイルズ放出によってできたサラリーキャップの空きを使って、ホーレス・グラントと契約を結びました。
キャリア7年のグラントは、ご存知、ブルズが最初に3ピートしたときのスターティングPF。
ブルズでのアベレージは平均12.6点・8.6リバウンドですが、マイケル・ジョーダンが引退した昨シーズンはスタッツを伸ばしており、初めてオールスターにも出場しました。
因みに、グラント獲得には紆余曲折がありました。
オフに入ったばかりの頃、ブルズのオーナー、ジェリー・レインズドルフはグラントを呼んで契約交渉の場を設けました。
しかし、普通こういう場には代理人が行くもの。
グラントはもちろん代理人を通すことを望み、それでその場は終わったはずでした。
ところがレインズドルフは口頭ではあったけれど、交渉が成立したと主張。
グラントに謝罪を求める記者会見まで開き、「そんなことはあり得ない」と主張するグラントと絶縁状態になっていました。
こうしてブルズとの関係が途絶えたグラントは、新天地を求めて幾つかのチームと接触。
優勝できる環境を求め、シャック&ペニーがいるマジックに優勝の可能性を見出したという流れです。
(オファーされた契約内容はブルズの方がよかったそう)
ただ、マジックとグラントの契約は、当初、NBAから認められません。
6年契約で、1年目終了後にFAとなれるオプション付きだったんですが、これが”再契約を前提としていた”ということのようです。
これは裁判沙汰となり、正式に”NBAのサラリーキャップのルールに違反する可能性がある”とされるんですが、その直後に新たに5年契約を締結(2年でFAになれるオプション付き)。
最初の契約から2ヶ月ほどかかり、9月末、ようやくグラントがマジックの一員になりました。
因みに、グラントが契約を結んだ日にラリー・クリストコヴィアックはブルズと契約。
また、グラント獲得のためにデニス・スコットを解雇するという案もあったようです。
【補強は続きます】
・ブライアン・ショウ、グレッグ・グラントと契約。
・トゥリー・ロリンズと再契約。
・グレッグ・カイトを解雇。
ショウは27歳のコンボガード。
NBAでは、これまでセルティックスとヒートで5年のキャリアがあります。
この人も、年俸は昨シーズンから下がっていますが、マジックを選びました。
グラントは5フィート7インチ・140ポンドの小型PG。
昨シーズンはCBAにいましたが、その前4シーズンはNBAでプレイしていました。
ショウが怪我をしたため、グラントは開幕ロスターに残れました(ショウは開幕には間に合います)。
ロリンズには、完全に現役復帰する話もあったようですが、ロリンズ自身が昨シーズン同様にAC兼選手としての続投を希望。
他チームからもオファーは来たみたいですが、それらはすべて選手としてのものでした。
カイトは契約が1年残っていましたがここまで。
昨シーズンの怪我から完全には回復していなかったこと、キース・タワー&ガート・ハミンクの若手2人の存在が解雇に繋がったようです。
【AC】
ボブ・ヒルがスパーズのHCになるためにチームを去り、代わりにリッチー・アドゥバト、トム・スターナーが就任。
これでロリンズと合わせて3人体制となりました。
アドゥバトはNBAで15シーズンのコーチキャリアがあるベテラン。そのうち4シーズンほどはHCでした。
昨シーズンはキャブスでマイク・フラテロのACを務めており、今回はその縁かもしれませんね(ブライアン・ヒルもフラテロの下にいたので)。
スターナーはマジックのビデオ・コーディネーターでした。
【シャック】
この夏はカナダのトロントで世界選手権が開催され、シャックはドリームチームⅡのメンバーとして出場しました。
シャックは選手選考ラスト2枠のうちの1人として選出(もう1人はレジー・ミラー)。
この当時のNBAでは、シャックがいの一番に選ばれてもおかしくないんですが、それはシャックのスポンサーがペプシ・コーラで、世界選手権のスポンサーであるマクドナルドには、ペプシのライバル会社であるコカ・コーラがタイアップしているという問題が絡んでいたため、時間がかかってしまいました。
半年ほど遅れて代表メンバーに選出され、いざ大会が始まればチームの中心はシャック。
平均18.0点・8.5リバウンドはともにチームトップでした。
大会のオールトーナメント・チームとMVPにも選ばれますが、スポンサー問題から受賞は拒否しています。
因みにオフコートでは、2枚目のアルバムを出したり、TVゲームのキャラクターになったり、LSUを卒業したり…こちらも充実していました。
【ペニー】
昨オフ、13年間6500万ドルという長期大型契約でマジック入りしたペニーですが、このオフ、オプションを行使して制限付きFAに。
そして、新たに9年間7000万ドルという大型契約を手にしました。
ただ、交渉には時間がかかり、新契約が結ばれたのは10月に入ってから。
そのため、ペニーはトレーニングキャンプ開始に間に合わず、メディアには叩かれ、オーランドの地元ファンからも多少ネガティブなイメージを持たれてしまいます。