☆94~95プレイオフ:ファイナル①
ファイナルの相手は、ウェスト第6シードのロケッツ。
過去に第6シードで優勝したチームはなく、戦前の予想ではマジック有利の声が多かった印象です。
シーズン中の対戦成績もマジックの2勝0敗。
トレード前と後に1試合ずつでした。
マジックにとって不利なデータとしては、ひとつは、シーズン平均得点がリーグ1位であること。
平均得点リーグ1位で優勝したチームは少なく、74~75シーズンのウォリアーズまで遡らなければなりません。
また、82年のレイカーズを最後に、FT成功率がビリで優勝したチームもありません。
スターターは、マジックはお馴染みになった5人。
ロケッツも、カンファレンス・ファイナルのゲーム5&6の布陣から変更ありません。
●ゲーム1@オーランド・アリーナ
先にリズムを掴んだのはマジック。
マジックは全員がよく動いており、オラジュワンに対するディフェンスの収縮もなかなか◎。
オフェンスではペニーがケニー・スミスを相手にしません。
Q半ばにシャックが2つ目のファウルを犯してベンチに下がると、ロケッツはオラジュワンが活躍しますが、それ以外の選手はシュート不発。
マジックはホーレス・グラントがインサイドで踏ん張り(リバウンド9本)、パスワークもよく、30対19とリードして1Qを終えました。
2Qはシャックのアリウープでスタート。
オラジュワン相手のためか、いつもほど自由にはやれませんが、それはオラジュワンも同じ。
自分で攻められないときにはパスでチームメイトを活かし、逆にオラジュワンはファウル・トラブルに陥ってしまいます(3つ目)。
Q途中にはマジックが20点のリードを奪いました。
しかしです。
このオラジュワンがいない時間帯に、ロケッツが反撃を開始します。
口火を切ったのはクライド・ドレクスラーでした。
ロケッツはオラジュワンが下がったためかゲームのテンポが早くなり、ここでドレクスラーが本領を発揮。
オープンコートのドレクスラーはアンストッパブルで、自らフィニッシュするも、味方にパスを出すも、自由自在。
マジックはファウルをするくらいしか抵抗できません。
ドレクスラーは前半だけで15点をマーク。
マジックは61対50と11点差に戻されて前半を終了しました。
そして3Q。
1Qにまったく入らなかったロケッツのアウトサイドが決まり出します。
ここでカギを握ったのがスミス。
マジックのリードはスミスの2連続3Pでなかったことになり、今度はマリオ・エリーにも3Pを決められて同点(!)
あっさり逆転されると、またスミスに2連続で3Pを決められ、ロバート・オーリーも1本決めて、更にスミスが1本決めて…
マジックは逆に10点近くリードされてしまいます。
マジックは3Pが決まらなくなり、ブライアン・ショウがなんとか繋ぎますが、80対87と7点ビハインドで最終Qへ。
勝負の4Q。
マジックは序盤からシャック中心で攻めます。
ショウもがんばり、残り7分を切ったところでペニーが3Pを沈め、再逆転に成功しました。
その後は一進一退。ロケッツは引き離されませんが、マジックもリードを許しません。
この時間帯、攻守にインサイドで身体を張るシャックはすごかったです(と思う)。
残り1分ちょっとで、シャックがオラジュワンを交わしてゴール下を決め、110対107とマジックが3点リードしました。
~残り1分を切っての攻防~
ロケッツはTOで自分たちのオフェンスを潰し、マジックボール。
マジックは時間を掛けて攻め、シュートを打ち、これを外しますが、リバウンドはマジック。
もう一度オフェンスを組み立て直し、今度はショウが3Pを打ち、これも外れますが、またしてもリバウンドはマジック!
ロケッツは、もうファウルゲームしかありません。
残り10.5秒、ニック・アンダーソンにファウルをしました。
1本でも決まって4点差になれば、マジックの勝利はほぼ確実。
FTを打つのは今日22点をあげているアンダーソン。
シーズンの成功率は70.4%ですが、この人はシューターで、このプレイオフ、何度となく大事なシュートを決めてチームを救ってきた選手です。ところが…
アンダーソンはこのFTを2本ともミス(!)
1本目も2本目もかなり短め。
緊張したか、1本目を外した後には拳で自分の胸を叩く姿も見られました。
しかし、リバウンドを確保したのはまたしてもマジック。
リング手前に当たったボールは、跳ね返ってドレクスラーに弾かれ、それをアンダーソンがキャッチ。
アンダーソンはそのままロケッツの選手に倒され、皮肉にもまたFTが回ってきました(ルーズボール・ファウル)。
フロアに倒されたアンダーソンは吠えます。
シャック、グラントらチームメイトは落ち着かせようとしたのか、何かをアンダーソンに話しかけました。
残り7.9秒。またしても大注目のFT…
1本目は、今度は長すぎました。つまりミス。
もはや苦笑いを浮かべるしかなくなったアンダーソンは、周囲の心配通り2本目もミス。
リバウンドは(やっと)ロケッツが確保し、タイムアウトをコールしました。
タイムアウトがコールされた瞬間、宙を見上げ、神妙にベンチへ戻っていったアンダーソンの表情は忘れがたいです。
タイムアウト明けのプレイ。
ロケッツはスミスがフェイクでペニーを交わして、今日7本目の3Pをヒット!
マジックは110対110の同点に追いつかれ、デニス・スコットがオーリーにブロックされ、オーバータイムに突入しました。
オーバータイムで主導権を握ったのはロケッツ。
ここで活躍したのがオーリーで、シャック&ペニーで戦うマジックを尻目に、連続3P。
残り40秒ほどでロケッツが118対115とリードを奪います。
しかし、マジックはまだ死んでいません。
残り8.6秒。スローインからリターンパスを受け取ったスコットが3Pを決め、118対118の同点に追いつくんですね。
この試合、2Q以降いいところのなかったスコットがようやく決めました。
そして残り5.5秒。
ロケッツはドレクスラーに託します。
ドレクスラーはハーフライン付近から大きな弧を描くようにペネトレイトしていきます。マッチアップしていたアンダーソンは追いつくことが出来ません。
しかし、シャックがヘルプにいったことで、ドレクスラーはゴールに近付くことが出来ず、強めに放ったフィンガーロールは外れました…
しかし、それをオラジュワンがティップイン(!!)
シャックがヘルプに行ったのでオラジュワンはノーマークでした。
最終スコアは118対120。
これが有名な、アンダーソンのFT4本連続ミスです。
マジックはシャックが26点&16リバウンド&9アシスト&7TO。
ペニーも26点をあげ、アンダーソン22点、グラント15点&16リバウンド、アンダーソン22点&11リバウンドでした。
ロケッツはオラジュワン31点、ドレクスラー23点&11リバウンド、スミス23点(3P7/11)、オーリー19点(3P4/10)、エリー18点。
スミスの3P7本はファイナル新記録で、マイケル・ジョーダン、マイケル・クーパー、ビル・レインビア、ダン・マーリーが記録した6本を更新しました。